パリにはついつい歩いてしまうような通りがたくさんあります。
その中でも「シャンゼリゼ通り」は、歌の「オー・シャンゼリゼ(Les Champs-Élysées)」の歌詞のように、そこにいるだけで気持ちがウキウキしてしまいます。
パリの通りはシャンゼリゼ通りをはじめ、大小さまざま5000以上もあるんですよ。
しかも、そんな数多くの通りすべてに、名前がついています。
通り名は著名人の名前が多い
通りの名前の中でも、著名人の名前が使われている場合が多いんです。
主に聖人、文学者、政治家、科学者、音楽家、軍人、画家などの名前が使われています。
フランスの通りで最も名前が使われているのは、フランス第18代大統領のシャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)。
パリの国際空港でも名前が使われていますよね。
ちなみに、フランスの通りで使われた著名人の名前ランキングの1〜5位までをご紹介します。
- シャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle):
フランスの政治家、軍人
第18代大統領 - ルイ・パスツール(Louis Pasteur):
フランスの生化学者、細菌学者
低温殺菌法やワクチンの予防接種という方法を開発 - ヴィクトール・ユーゴー(Victor Hugo):
フランスの詩人、小説家
『レ・ミゼラブル』の著者
わたしの初めての一人暮らしで滞在したアパルトマンは、「ヴィクトール・ユーゴー通り」から1本道を入ってすぐのところでした。 - ジャン・ジョレス(Jean Jaurès):
フランスの社会主義者、政治家
フランス社会党の創設者 - ジャン・ムーラン(Jean Moulin):
フランスの政治家
ナチスに占領されたフランスで、ナチスに抵抗し続けたレジスタンス運動の指導者
上位5位に政治家が多いので、政治家の名前が一番使われているのかと思いますよね。
でも、トップは文学者で、次に政治家が多いのです。
通り名の表示プレート
通りの曲がり角の壁には必ず、「通りの名前」のプレートがはられています。
プレートは主に「区の番号」と「通りの名前」などが書かれた、緑色のフチのある紺色のおしゃれなデザイン。
「通りの名前」のみの長方形の簡素なプレートもあります。
壁のほかにも、ポールの上部にプレートがついているものも。
どんな形態であれ、そのプレートを見れば、どの通りにいるのかひと目でわかります。
プレートの見方
プレートの見方として、16区にある「Louis Boilly 通り」を例に見てみましょう。
「区」の表示
一番上には「16e Arrt」という謎の文字。
この文字を個別にみていくと、以下のとおりになります。
- 16e(『16eme』の略):16番目の
- Arrt(『Arrondissement』の略):区
パリ市内には、「区」が1〜20まであります。
この通りは「16番目の区」つまり「16区」なんです。
「通り名」の表示
「区」の表示の下には通りの名前。
ここには「RUE LOUIS BOILLY」と書かれています。
この意味は、次のとおりです。
- RUE:(通りの種類)通り
- LOUIS BOILLY:(通りの名前)ルイ・ボワリー
ここは「ルイ・ボワリー通り」ということになります。
「生没年」と「職業」の表示
通りの名前が著名人の場合、プレートにはその人の「生没年」や「職業名」までもが記されています。
- ( 1761 – 1845 ) :(生没年):1761年出生〜1845年没
- PEINTRE:(職業)画家
このことから、この通りは「著名人の名前の通り」で「画家のルイ・ボワリー」の名前を使った通りなんだな、ということがわかります。
ちなみに、ルイ・ボワリーは、人物を写実的に描く画家です。
彼の作品は、写実的ななかにも、今にも動き出しそうないきいきとした愛らしい人物が描かれていて、わたしの好きな画家のひとり。
特に彼の作品の中で「ルーブル美術館でナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠を鑑賞する人々(1810年)」がお気に入りです。
この通り沿いには、モネをはじめとする印象派の作品を展示している「マルモッタン・モネ美術館」があります。
(地図帳の見方やパリの住所の基本などについてはこちらの記事でご紹介しています→「パリの地図帳(マップ)の見方」)
通りの種類
パリの通りには、環状道路である「Boulevard」から、袋小路の「Impasse」まで、大小さまざまな種類の通りがあります。
主な「通りの種類」をまとめてみました。
- Allée:歩行者専用の道、路地(散歩道)
- Avenue:大きなモニュメントにつながる直線的に伸びる並木道
- Boulevard:幅の広い大通り。城壁跡に作られた大通り(円形につづく)
- Carrefour:交差点
- Impasse:袋小路
- Passage:歩行者専用の道、路地(散歩道)
- Place:広場
- Porte:(パリ市の)市門、市門界隈
- Quai:河岸
- Rond-Point:中央が噴水や記念碑で占められている円形の場所、いくつかの通りや道を収束させる交差点
- Rue:一般的な通り
- Square:柵に囲まれた小さな公園、木や芝生がある四角形のエリア
- villa:個々の住居に囲まれた道路や袋小路、パリでは私道
どの通りも大小関係なく、趣深く、歴史を感じられ、またそれぞれの表情があります。
特に「Avenue」と呼ばれる通りは、広々として、賑やかで、景観も美しく大好きです。
「Avenue」のような大きな道とは対照的に、小さな道もお気に入り。
都会の喧騒からはずれ、のんびりお散歩ができるのも至福のひとときです。
まとめ
大小さまざまな魅力のあるパリの通り。
有名な通りだけでなく、通りかかった脇道をふらっと歩いてみてはいかがでしょうか。
5000以上も通りがあるので、きっとお気に入りの通りを見つけられるかもしれません。
道に迷っても、通りには必ず通り名が表示されているので安心。
ぜひ通り名のプレートを見ながら、お散歩も楽しんでみてくださいね。